本日は8月31日に中小企業庁・経済産業省が公表した令和9年度概算要求の資料をもとに、来年度(2027年度)の事業者向けの主要補助金・支援策に関係する要求について以下のポイントを中心に解説してみます。
①現行の主要補助金は、来年度(令和9年度)も継続されるか?制度変更がある補助金はあるか?
②補助金の統合・再編はあるか?新しい補助金は?
1)現行の主要補助金は、来年度(令和9年度)も継続されるか?
結論から言えば、下URL(前回配信)にある全ての主要補助金は継続されそうです。
来年3月ぐらいまでの経産省・主要補助金公募スケジュール予想! – YMO
現時点で何故そう言えるかというと、昨年まで補正予算に計上されていた主要補助金が本年度の概算要求資料に入っているからです。8月末に既に公表された「令和9年度 中小企業・小規模事業者関係 概算要求等ポイント」資料は右URLのとおり。>>gaisan_point.pdf 以下、この資料を使って来年度各補助金の概要に触れていきます。
①持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金、省力化投資補助金、中小企業成長促進補助金、M&A・事業承継補助金
上記5つの補助金は基金として中小機構が運営していますので、予算名は「独立行政法人中小企業基盤整備機構運営費交付金」となっています。予算額は5補助金合計で6980億円と大きな要求額となっています。(ちなみに、これはあくまでも概算要求としての金額であり、最終的な予算額は来年3月に成立する見込みの令和9年度当初予算を待つ必要があります。当初予算では減額される可能性は十分あります。)

ここで、特筆したいのはスライドにある「省力化・デジタル化・AI補助金」になります。これを見る限り、現行の「デジタル化・AI導入補助金」と「省力化投資補助金」が統合・再編されるようです。統合・再編に伴い制度変更がある可能性があります。また、持続化補助金に関し「例えば1億円を目指すなど、売上規模を拡大し「成長志向の経営計画(仮称)」 を宣言する者」という記載があります。これは要件ではないようですが、「成長志向の経営計画(仮称)」とは何なのか興味深いです。成長志向の小規模事業者へ何らかの優遇があるかもしれません。
②新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
当補助金も継続となり、予算要求も2200億円と大きいです。下スライドにある「売上高10億円を目指す宣言を原則として要件化」とうところが気になります。あくまでも「宣言」なのですが、多くの申請者にとって売上高10億円とは高いハードルですね。将来売上高10億円を目標とする(簡易な)長期計画が新たに求めらるかもしれません。

③大規模成長投資補助金
この補助金は上記資料ではなく、右URLにある資料に掲載されています。>>01.pdf 当資料には正式な名称である「中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」として約1375億円の要求が計上されています。

④新しい補助金など
最後に新しい補助金ですが、今回の概算要求資料には見たりませんでした。今後補正予算が編成される場合でも、「補正予算の編成については真に緊要性の高い施策に限定する」という政府方針があるようですので、補正予算の中に新しい大きな補助金が入ることはまず考えられないと思います。
以上、中小企業庁・経済産業省の令和9年度概算要求資料を使って、来年度の主要補助金の継続を確認し、その概要を見てきました。今後の予定ですが、12月末に政府が予算案を作成・閣議決定し、来年1月から始まる通常国会へ提出します。国会での審議を経て3月末に令和9年度当初予算が成立する見込みです。成立後の原則4月以降に各補助金の公募が始まります。来年度補助金へ申請する際は、制度、要件等が変わる可能性がありますので、しっかりと公募要領を熟読する必要があります。
2)今回の概算要求に関する私見
①まずは、予算編成に対する政府方針が大きく変わったことにびっくりしました。以下、政府が公表した「令和9年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」(sy260730a.pdf)からの抜粋です。
「補正予算依存から脱却し恒常的な施策を当初予算に計上するため、適切に要求・要望。歳出全般にわたり、施策の優先順位を洗い直し、予算の中身を大胆に重点化」
本来補正予算とは特殊事業(コロナ、震災など)があった場合に編成されるものですが、ここ十数年補正予算は常態化しており毎年編成されてきました。十数年継続されている恒常的施策と言える主要補助金についても、私は「何故、補正予算に計上されるのか?当初予算に入るべきではないのか」と常々思っておりました。故に、今回の予算編成の方針変更には大賛成です。いや、変更するのが遅すぎた感さえあります。
②今回の資料のキーワードのひとつに「成長志向」があるかと考えます。成長志向の事業者を特に支援するという政府の考えは、ここ3年ぐらいで創設された「中小企業成長加速化補助金」「大規模成長投資補助金」に反映されてきました。今回、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」「持続化補助金」においても「成長志向」の事業者を支援する考えが追加されました。補助金の運営方針として、政府もよりメリハリのある方向へ向かっているかと感じます。