初めて!経産省が下請事業者との価格交渉・転嫁に後ろ向きな大企業を「実名」で公表!【下請け事業者必見】

経営知識

経産省・中小企業庁は2021年9月より、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定し、各「月間」終了後には、多数の中小企業に対して、主な取引先との価格交渉・価格転嫁の状況についてのフォローアップ調査を実施しています。前回までは全体の分析結果のみ公表していましたが、今回初めて下請事業者との価格交渉・転嫁に後ろ向きな企業を「実名」で公表しました!この事は画期的なことであり、政府の「現状を是正し、下請取引を適正化したい」という本気度の現われかと察します。ということで、本日は今回経産省が公表したフォローアップ調査について簡単に解説してみます!

1)今回の「実名」公開の背景のひとつ(私見)

ご承知の通り政府の重要施策のひとつは「賃上げ」です。新聞紙上では大企業の大幅賃上げに関する記事はよく見かけますが、中小企業の賃上げの実態は不透明なところがあります。大企業と(下請け)取引のある中小事業者は相当多く、そのような中小事業者が賃上げできる大きな条件のひとつが「価格転嫁」であることは間違いないかと思います。以下のグラフは、一昨日の東京商工リサーチ記事(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230207_01.html)からの抜粋になりますが、価格転嫁と賃上げには相関関係があり、転嫁が進む企業ほど賃上げ率が高い傾向にあるようです。今回経産省が実名を公表してまでも親会社(大企業等)に対して価格交渉・転嫁を前向き検討するよう促している理由のひとつが、ここにあるように思えます。

2)価格転嫁に後ろ向きな企業の実名を公表した調査資料

昨年9月に経産省が実施したアンケート調査(下請けの約15000者が対象)の結果を基に、親会社(大企業)の取引先中小企業との価格交渉や転嫁に対する姿勢を評価した資料は下URLのとおりです。(評価の対象は大企業150社)下の資料では「リストに上がった各発注側企業が行っている全ての価格交渉及び価格転嫁の状況を、網羅的に整理したものではない」との前提があるものの、初めて価格交渉・転嫁に後ろ向きな会社の「実名」を公表したことにはびっくりしました。中小事業者を支援している立場として、画期的であり大変意義のあることかと考えます。

*発注側企業ごとの受注側中小企業からの回答状況を整理した「企業リスト」     >>202209list.pdf (meti.go.jp)

評価基準は「価格交渉の姿勢」と「価格転嫁の姿勢」の2つであり、下の通り点数化しています。

点数化した上で以下のとおり「ア~エ」で4段階評価を行っています。

以下、評価の低かった企業、高かった企業のみ抜き出してみました。

最後に実際公表された約150社のリストを下に抜粋しました。皆さまの取引先企業の名前もリストあるのではないでしょうか?大企業と取引のある事業者は是非目を通してみては如何でしょうか?(余談ですが、和歌山県内に生産拠点を持っている大企業(日本製鉄、花王、三菱電機)は価格交渉・転嫁には大変前向きのようです。)

矢埜 幸男

矢埜 幸男

これまで幅広い分野で多くの和歌山県内事業者を支援してきました。特に、各種補助金の申請サポート、プレスリリース作成サポートにおいては、事業者のお役に立てると自信を持っております!

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矢埜 幸男

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