先週末、政府は一般会計で総額18兆3034億円に上る「令和7年度補正予算案」を閣議決定しました。本日は、当補正予算案に盛り込まれた来年の中小企業支援策概要について解説します。
1・総論~来年の中小企業対策費は拡充されます~
当補正予算案に各種補助金を中心に8364億円の中小企業支援費が盛り込まれました。(既存基金の活用を含めれば1兆3000億円)昨年の補正予算の中小企業支援費が5114億円でしたので、来年の中小企業対策費は拡充されたと言えます。また、現行の経産省主要補助金は来年も継続されることになりました。
ここ数年の政府の中小事業者支援方針ですが、小規模事業者を中心した規模の小さい事業者への支援を維持しながらも、売上100億円を目指す成長志向の強い事業者への支援を強化・拡充する方針と言えるかと思います。今回の補正予算案の内容も、この支援方針に沿ったものになっております。
2・来年の中小企業支援策の概要
下表は中小企業庁HPからの抜粋になります。>>r7_hosei.pdf 気になる現行の主要補助金ですが、後述する通り、現行の経産省主要補助金は来年も継続されます。

3・経産省の各主要補助金について
まずは以下、現行の主要補助金を一覧にしてみてみましょう。

1)中小企業生産性革命推進事業(②持続化補助金、③IT導入補助金、④事業承継・引継ぎ補助金、⑤成長加速化補助金)>>3400億円
- 以下、今回の令和7年度補正予算案資料(r7_pr.pdf)からの抜粋になりますが、上記表にある②~⑤の主要補助金は継続されます。予算額は昨年と同額の3400億円となりました。
- ただし、昨年の中小企業生産性革命推進事業に含まれていた「①ものづくり補助金」が今回は入っていません。ものづくり補助金は廃止になるのでしょうか?個人的な見解ですが、ものづくり補助金は後述する別枠で予算が計上されるのではないかと推察します。
- 来年、IT導入補助金の名称が変更され「デジタル化・AI導入補助金」となるようです。名称変更に伴い補助スキーム等の大枠が変更になる可能性があるかもしれません?

2)省力化投資補助金(⑥ー1カタログ型、⑥ー2一般型)>>1800億円
来年度、省力化投資補助金も継続されます。当補助金は既存の基金で賄う予定ですので、今回の補正予算には計上されていませんが、中小企業庁HP(r7_hosei.pdf)には以下の記載があります。来年は従業員規模ごとの補助上限額の見直しがあるようですね。

3)①ものづくり補助金、及び⑦新事業進出補助金 >>1200億円
中小企業庁HP(r7_hosei.pdf)には以下の記載がありますが、これは具体的には「①ものづくり補助金」と「⑦新事業進出補助金」のことかと考えます。ひょっとして、この2つの補助金は統合されるのでしょうか?不明です。また、2つの補助金の予算額としては1200億円は少ない過ぎる感もあります。詳細は今後の情報を待ちたいと思います。

4)大規模成長投資補助金【4,121億円(新規2,000億円、既存2,121億円)】
補助上限額が巨額の50億円である大規模成長投資補助金も継続されます。今年度同様、来年度も2回の公募があるかと思います。下表は令和7年度補正予算案資料からの抜粋ですが、来年度公募の注意点は以下のとおりです。
- 「新規公募分として基金2,000億円を措置し、100億宣言企業向けに、うち1,000億円程度を確保」とありますので、補助金申請企業を「既に売上100億円以上を達成している企業」と「売上100億円未満の100億宣言企業」に区分するのではないか?
- 現行の申請要件の一つである投資下限額は10億円ですが、来年度はこれが20億円になるようです。(売上100億円未満の100億宣言企業は15億円)補助金の効果を高めることが理由でしょうが、個人的にちょっと上げすぎじゃないか思うのですが。この投資下限額にとどかない企業は、「⑤成長加速化補助金」(投資下限額1億円)へ申請することになりますね。
