先日の配信のとおり、厚労省が決定した本年度の最低賃金引き上げ目安は過去最高の41円アップ、全国平均で1002円というものでした。この目安をベースに各都道府県の最低賃金審議会が決定した最終の最賃額が先週出揃いました。今回は地方を中心に引き上げ目安へ4~8円上乗せする県が多く、最終の全国平均は国の想定を上回る1004円となりました!例えば、和歌山県は目安通り40円アップでしたが、佐賀県は目安より+8円、47円もアップしました。最低賃金の地域格差が人口流出原因のひとつであるという認識から、大幅な上乗せを決定したようですね。佐賀県であれば、お隣の福岡県との賃金格差を気にするのは当然ですね。お隣の大阪府との最賃格差が135円もある和歌山県にとっても他人事ではないです!
最低賃金、全国平均1004円に 地方中心に24県で目安超え – 日本経済新聞 (nikkei.com)
今回の最低賃金引上げに関して今後の事業者の対応が気になるところですが、本日は帝国データバンクと東京商工リサーチが同時期に行った以下の「最低賃金引き上げにともなう企業の対応アンケート」を紹介したいと思います。
最低賃金引き上げにともなう企業の対応アンケート (tdb.co.jp)
最低賃金の上昇、企業の15.9%が「許容できない」 規模・業種で差が広がる | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ (tsr-net.co.jp)
1)帝国データバンクの調査結果
以下、事業者の対応策のサマリーですが、詳細は上の帝国データバンクレポートをご覧ください。

上記対応策にはありませんが、個人的に追加したい対応策は「補助金・助成金の活用」になります。経産省が推奨している賃上げに関連する補助金・助成金は、右URLのPRチラシに掲載されています。(PowerPoint Presentation (meti.go.jp)また、このチラシにはありませんが、小規模事業者にとっての狙い目は、持続化補助金の「賃金引上げ枠」になります。(PowerPoint プレゼンテーション (meti.go.jp) 事業所内の最低賃金を30円以上引き上げれば、補助上限額が200万円(通常枠50万円の4倍)になります。
興味深い調査データとして、現時点で従業員を採用する時の最も低い時給について尋ねたところ、全体平均は約 1,086 円となっています。2023 年度の全国平均 1,004 円を82円も上回ってます。人手不足を背景に、雇用維持を目的として賃金を高めに設定する動きがあるようですね。

2)東京商工リサーチの調査結果の一部
今年度の最低賃金を基準に、来年度許容できる最低賃金の引き上げ額について、2,259社から得た回答のサマリーです。これをみると、最低賃金が上昇すると収益内で人件費の捻出が厳しくなる企業と、物価高への対策として賃上げに積極的な企業との二極化が広がっているようですね。
