事業再構築補助金の次回公募はどうなる?行政レビューが「新規採択は一旦停止すべき」と提案!

事業再構築補助金

コロナ禍で苦しむ事業者の新規事業・再構築事業の立ち上げを支援する目的で3年前に新設された「事業再構築補助金」ですが、以下のとおり今まで10回の公募が実施され、合計で7万6千社が採択されました。補助額が大きいこともあり、採択後に思い切った再構築事業に取り組まれた事業者にとっては有難い補助金であったかと思います。

さて、この事業再構築補助金ですが、11回目の公募が10月頭に締め切られて既に約2か月が経過していますが、次回の12回公募が開始される気配がありません。何故でしょうか?既にご存じの方もいらっしゃるでしょうが、以下、当補助金の現状について推察してみます。

1)「事業再構築補助金の新規採択は一旦停止すべき」:秋の行政事業レビューでの提案

行政事業レビューとは、昔の民主党政権下「事業仕分け」のようなもので、政府(行政改革推進本部)が国の事業・制度等に関し外部有識者を招いて検証・評価するものです。「事業・制度」には補助金制度、助成金制度、各種基金制度等が含まれます。11月12日に開催されたレビュー会議において「事業再構築補助金」が取り上げられました。(経産省としては予算規模が一番大きな補助金であり、且つ基金化されていることでヤリ玉に上がったのでしょう)このレビュー会議において、有識者(評価者グループ)より「新規採択は一旦停止すべき」旨の提案がなされました。以下、毎日新聞の関連記事になります。
中小企業の「事業再構築補助金」採択停止を提案 行政事業レビュー | 毎日新聞 (mainichi.jp)

レビューにおける評価者グループからの具体的な提案・結論は以下のとおり。

  • 申請書、財務諸表の精査、四半期のモニタリングの仕組みが確立されない限り、事業再構築補助金の新規採択は一旦停止すべきである。
  • コロナ対策としての役割は終わりつつあるので、基金は廃止しても、もしくは抜本的に事業を構築し直すべきだ。
  • 未執行の金額については一旦国庫返納してはどうか。基金として継続する必要は認められないので、通常の予算措置に戻す。
  • 審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分検討が必要。
  • 今回の提案は今までの事業再構築補助金に対してのものであり、来年予定されている新補助金である「省力化投資補助金」(事業再構築補助金と同じ基金を活用)については該当しない。

本レビューに出席していた河野行革担当大臣も、(経産省だけが悪いわけではなく)政治の責任でもあることを認めながら今回の提案には賛同する立場を表明しました。(3年前の事業再構築補助金の新設にあたっては、政治家サイドより様々なプッシュがあったのでしょう?)

今回の結論はあくまでも「提案」と理解しますので、今後経産省・中小企業庁がどのように対応するか不明です。しかし、行革大臣も賛同しての提案ですので、現在経産省としては今回の提案に対して何らかの対応を迫られており、何らかのアクションを起こさないと次回公募を開始できないのではないかと推察しています。(勘ぐっていると言った方が良いかもしれませんが)

上記を踏まえると、事業再構築補助金の次回公募がいつになるか不明であり、しばらくは静観するしかないと考えます。また、次回公募が始まっても、その大枠が大きく変更される可能性もありかと思います。仮に来月12月になっても公募が開始されない場合、中小企業庁・補助金事務局より何らかのアナウンスがあるものと勝手に思っているのですが。

以上、現状に対する当方の見解になりますが、あくまでも個人的な推察ですので、この点ご留意ください。

2)今回の行政事業レビューに対する個人的な感想

行政レビュー会議の模様を撮影したユーチューブ動画は下URLになります。

以下、上の動画を視聴しての個人的な感想になります。

  • 私は行政事業レビュー動画は毎年視聴していますが、今回のように有識者である大学教授等の評価者が一方的に 高圧的に批判を繰り返し、中小企業庁幹部が釈明に追われる光景を始めて見ました。
  • 正直、現在の事業再構築補助金は制度・運用上いろいろな問題があることは確かであり、評価者たちの発言・批判は正論であることは間違いないでしょう。しかし、「四半期毎にモニタリングしろ」など(事業者の作業負荷等の)現場の事情を踏まえていない批判もあり、個人的に腹立たしい場面も多くありました。(評価者としてはあくまでも正論を通すことが、その役割なのでしょうが)
  • 中小企業庁幹部の方々も、分析作業におけるマンパワーの問題、小規模事業者を相手にデータ検証を行うことの難しさなどについて言いたいことはあったのでしょうが、正論を高圧的に突き付けられるとなかなか反論できなかったのでしょう。個人的に中小企業庁幹部の方々に深く同情した次第です。 
  • また、今回河野大臣が政治にも責任があったことを認めた通り、当補助金はコロナ禍の中の事業者支援の目玉政策として与党・官邸が主導して創設されたものかと考えます。評価者の方々はその点には触れず、強い口調で経産省・中小企業庁を一方的に非難していますが、個人的にちょっといかがなものかとも思ってしまいます。まぁ、それが評価者のレビューでの役割と言ってしまえば、それはそうなんですが。

事業再構築補助金の次回公募への申請を計画されている事業者のことを考えると、できるだけ早期に次回公募が開始されることを願ってます。

矢埜 幸男

矢埜 幸男

これまで幅広い分野で多くの和歌山県内事業者を支援してきました。特に、各種補助金の申請サポート、プレスリリース作成サポートにおいては、事業者のお役に立てると自信を持っております!

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矢埜 幸男

矢埜 幸男

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